研究概要 |
白血病に見られる染色体転座の中の9;22,15;17,8;21と11q23転座、16番逆位、12;21転座、3;21転座を転座点上のプローブを用いてFISH法にて間期核上で検出できるようにした。9;22転座は46例(17例はインターフェロンαの治療例、29例は骨髄移植例)について行った。15;17は9例で、そのうち7例は化学療法例、8;21転座は18例で、そのうち12例は化学療法か骨髄移植例であった。11q23転座は7例、16番逆位例は12例、3;21転座は5例について診断時および治療後の残存白血病細胞の割合を求めた。この方法は病型の確定診断はもとより治療効果判定にも有用であった。さらに上記の異性間骨髄移植例19例の転座を検出プローブとY染色体プローブを混合してFISH法を行い、従来のFISH法より高感度な10^<-3>レベルで残存白血病細胞を検出することが可能となった。また間期核上でシグナルをみる間期核FISH法はG分染法による染色体分析よりも染色体異常の検出感度が優れていた。両者の検出感度を同一サンプルで比較したところ、15;17転座とモノソミ-7の異常は染色体分析法では検出しにくいことがわかった。また、検出感度にあまり差のみられない多くの異常においても細胞集団中の白血病残存率が20%以下になると間期核FISH法では検出できても染色体分析法では検出されないことがわかった。12;21転座は染色体分析法では検出されにくい異常であるが、間期核FISH法を用いると小児の急性リンパ性白血病において12;21転座を15%の患者に検出することができた。
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