白血病には病型に特異的ないくつかの染色体転座がみられる。9;22、15;17、8;21、11q23転座、16番逆位、3;21転座、12;21転座を転座点上のコスミドおよびYACプローブ部を用いてFISH法を行い、間期核上で検出できるようになった。この間期核FISH法は迅速な白血病の病型の確定診断はもとより治療効果判定にも有用であることを確認した。さらに骨髄移植例の内で19例の異性間移植例については転座を検出するプローブとY染色体プローブを混合してFISH法を行い、従来のFISH法での10^<-2>レベルより高感度に10^<-3>レベルまで残存白血病細胞を検出することが可能になった。この方法で経時的観察を行うと移植後3年までは10^<-2>〜10^<-3>レベルで検出できる。再発と残存白血病細胞の割合との間の相関はみられなかった。また、検出感度にあまり差のみられない多くの異常についても細胞集団中の白血病残存率が20%以下になると間期核FISH法では検出できても染色体分析法では検出されないことがわかった。12;21転座もG分染法では検出されにくい異常であるが、間期核FISH法を用いると小児の急性リンパ性白血病の15%の患者に検出されることが新たにわかった。さらにこの間期核FISH法と細胞形態、細胞表面抗原、蛋白発現、アポトーシス観察を同一標本上で行う方法も開発した。この方法によって遺伝子異常の有無と細胞系列、特異的な蛋白質発現量、細胞死との関連がみられるようになった。間期核FISH法は基礎研究のみでなく臨床的応用にも可能と考えられる。
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