研究概要 |
全く異なったタイプのIL-4およびIL-10のレセプターから、共通の抗炎症効果を生じるシグナル伝達機構の解析を目的として研究を行った。 1)IL-4とIL-10の単球活性酸素産生抑制は産生酵素であるNADPHオキシダーゼのサブユニット蛋白のうち,gp91-phoxとp47-phoxの両遺伝子の発現抑制を介して可能性が示唆された(空閑らExp.Hematol.,1996) 2)両サイトカインともにシクロキシゲナーゼ(COX)活性をCOX2遺伝子を選択的に抑制することで抑制していることが明らかになった(新納ら Blood,1995) 3)好中球のプロスタノイド産生抑制もCOX2遺伝子の選択的抑制であることが判明した(新納ら投稿中) 4)マウスの常在型腹腔マクロファージの酸化窒素(NO)産生に大しては両サイトカインが異なる作用を示した.(根元ら 投稿中) 5)また、IL-4レセプターを介してシグナル伝達機構の解明に際して、commonγ鎖に欠損したXSCID患者のB細胞を用いた検討から、IL-4からのJAK-STAT系のリン酸化/活性化にはcommorγ鎖が必要であることを明らかにした。(出原ら JBC,1995) 6)単球におけるIL-4のシグナル伝達解明を目標としているが、マウス単球細胞株にヒトIL-4レセプター遺伝子を導入して安定変異株を作成した。安定変異株では、ヒトIL-4の存在下でNOやTNF-α産生が有意に抑制された。(根本ら 投稿中) 今後,細胞内タンパクにリン酸化を指標の一つにして、この系を発展されていく予定である。
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