研究課題/領域番号 |
07671214
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 恭暉 長崎大学, 医学部, 助教授 (60145232)
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研究分担者 |
近藤 宇史 長崎大学, 医学部, 教授 (00158908)
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キーワード | ATL / Apoptosis / CD95 / Fas / オキシダント / アンチオキシダント / グルタチオン / 8-OHdG |
研究概要 |
平成7年度および平成8年度の研究によって、IgM抗Fas抗体に感受性および耐性のATL株細胞を数多く樹立することが出来た。これらの細胞の解析により、Fasを介したapoptosisの機序には少なからずoxidantの発生が関与していることが明らかとなった。一方、耐性細胞内の還元型glutathione(GSH)量は感受性細胞よりも数倍多いことから、少なくともapoptosis耐性化の一部はanti-oxidantとしてのGSHによってもたらされていることが示唆された。また興味深いことに、抗Fas抗体に耐性な細胞は、さまざまな抗癌剤に対しても同様に耐性であるという結果が得られた。 そこで研究材料を株細胞から臨床材料に発展させた。oxidantによるDNA損傷のマーカーである8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)は、抗癌剤投与後ATL患者尿中に著しく増加し、抗癌剤による殺細胞効果にもoxidantの発生が関与していることが明らかとなった。更に、ATL患者にしばしば観察される抗癌剤に対する多剤耐性化の機序が、細胞内GSH量の増加によってもたらされている可能性について検討を行った。しかしATL細胞の方が正常リンパ球よりもGSH量が多いとする結果は得られず、抗癌剤に対する耐性化はGSH単位では説明できなかった。 抗Fas抗体に高度耐性を示したATL細胞について、Fas遺伝子の解析を行った。解析した6検体のうち1検体に、death domain部の点突然変異に基づく欠損が認められた。また、この細胞を抗Fas抗体で処理してもoxidantの発生は認められなかった。現在この細胞について更に解析中である。
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