研究概要 |
平成7年度に得られた結果を以下に示す。(1)電顕的検索:60分、120分虚血後24時間再潅流したICRマウス腎において尿細管のアポトーシス像を確認した。(2)抗Fas抗体を用いた免疫組織学的検索で皮質〜髄質外層内帯の遠位尿細管にFasの局在が証明された。次に、虚血時間を60分とし再潅流時間を2,6,12,18,24時間と変化させたモデルを作製して再潅流中のどの段階でFasの発現や細胞死が出現しているかを検討した。この結果わ以下の如くであった。(3)再潅流の後期(12時間目以降)に腎髄質外層でTUNEL法で検出される細胞死が著しく増加する傾向がある。一方再潅流開始後ごく早期には、虚血により壊死に陥り完全に破壊されている近位尿細管を含めて細胞死は検出されない。(4)このモデルにおいてFasの発現を免疫組織学的に検討したところ、細胞死に比較し、むしろ再潅流の早期に主として遠位尿細管にFasの発現が認められた。第3にlprマウス(Fas欠損)において虚血再潅流モデルを作製し、細胞死の誘導を検討した。この結果、(5)対照に比較し、lprマウスではTUNEL細胞死が著しく減少していた。以上の結果から、本モデルにおいては、Fas介在性のアポトーシスが病像に関与しており、再潅流の早期のFas発現が、後期のアポトーシスにつながっていくことが示唆された。
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