研究概要 |
研究実績の概要 まずはじめに、単離したクロライドチャネル3種類の生体内での存在部位を確定するために、クロライドチャネルCIC-K1,-K2,-3に対する抗体を、ペプチド抗原を用いて、兎を免疫して作製した。CIC-K1、CIC-K2、に対する抗体は特異的なものが得られ、これをもとにして腎臓内での存在部位を免疫組織化学にて確定した。これによりCIC-K1は細いヘレンの上行脚の管腔膜側、基底膜側に存在することが判明した。一方、CIC-K2は接合尿細管の管腔側膜に存在した。このことは、これらクロライドチャネルの生理的役割を推定する上で重要な情報となった。CIC-3には今のところ、良い抗体は得られていない。 次に、これらクロライドチャネルの構造機能相関を研究した。CIC-K1は細胞外第一ループの陽電荷アミノ酸を置換するとクロライド電流が増加し、この部位の重要性が示唆された。CIC-3はCHO細胞に強制発現細胞を確立し、カルシウム感受性クロライドチャネルであることが判明した。現在、キメラ分子の検討によりさらに詳しい情報が得られつつある。 これらのクロライドチャネルの病態への関与を検討するために、ヒトのこれらのクロライドチャネルのcDNAをまず単離した。さらにヒト遺伝子の解析のために、エクソンイントロン構造を含めて、ヒトクロライドチャネルの遺伝子構造を決定した。これにより、全エクソンをPCRにて増幅し、塩基配列を直接シークエンス法にて迅速に決定する方法を確立した。一方、単離したクロライドチャネル遺伝子を用いて、ヒトの遺伝子座をFISH法にて決定した。
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