研究課題/領域番号 |
07671252
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
槙野 博史 岡山大学, 医学部, 教授 (50165685)
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研究分担者 |
山地 浩明 岡山大学, 医学部付属病院, 医員
堀内 正公 熊本大学, 医学部, 教授 (10117377)
四方 賢一 岡山大学, 医学部, 助手 (00243452)
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キーワード | 糖尿病 / 腎臓 / AGE / メイラード反応 / 細胞外マトリックス |
研究概要 |
糖尿病状態では蛋白の糖化反応(メイラード反応)が亢進し、生体内にAGEが増加する。このAGEは、マクロファージなどのレセプターに結合してサイトカインやNOの産生を増加させることが知られている。また、AGE化を受けた細胞外基質は、プロテアーゼによる分解が遅延することも報告されている。我々は、糖化反応最終産物(AGE)が糖尿病性腎症の発症と進展にどのように関与するかを明らかにするために、糖尿病性腎症患者の腎生検組織と、IDDMのモデルであるstreptozotocinを投与して糖尿病を惹起したラット(STZ-DMラット)および自然発症NIDDMモデルであるOLETFラットの腎組織におけるAGEの局在と細胞外基質構成成分の変化を蛍光抗体法および酵素抗体法を用いて検討した。その結果、ヒトおよびSTZ-DMラット、OLETFラットの糸球体のメサンギウム領域および尿細管にAGEが多量に蓄積していることが明らかになった。特に糸球体の結節性病変部位にAGEの蓄積が顕著であった。また、糸球体内の細胞外基質構成成分では、VI型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲンの増加とheparan sulfate proteoglycanの減少が認められた。以上の結果から、AGEは糖尿病の進行とともに腎組織に蓄積し、メサンギウム細胞のAGEレセプターに結合して細胞外基質の産生を増加させたり、AGE化されたコラーゲンの代謝が遅延することなどにより細胞外基質の構築に変化を及ぼし、糖尿病性糸球体硬化を進行させることが示唆された。
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