研究課題/領域番号 |
07671260
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60129608)
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研究分担者 |
山路 安義 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20200701)
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キーワード | イノシトール3リン酸 / イノシトール3リン酸受容体 / 腎臓 / 免疫組織化学 / カルシウムイオン / 共焦点レーザー顕微鏡 / 血管平滑筋 |
研究概要 |
1.IP_3受容体の腎臓内局在の検討 イノシトール3リン酸(IP_3)受容体のタイプ1、タイプ2、タイプ3の各タイプに特異的なマウスモノクローナル抗体を作成し、ラット腎臓における免疫組織を行い、IP_3受容体の腎臓内の局在を検討した。タイプ1は血管平滑筋細胞とメサンギウム細胞に発現していた。タイプ2は集合管間在細胞に特異的に発現していた。タイプ3は血管平滑筋細胞、皮質集合管主細胞に発現しており、少量がメサンギウム細胞に発現していた。また、タイプ3の皮質集合管主細胞での発現は基底膜側細胞質に局在していた。このようにIP_3受容体の腎臓における発現は細胞特異的であり、腎臓の細胞の生理機能に深く関わっている可能性が示唆された。 2.培養平滑筋細胞における細胞内Ca^<2+>濃度変化の局在の検討 Wistarラットの大動脈より採取しクローン化した平滑筋細胞を用いて、IP_3をsecond messengerとする種々の内分泌因子による、細胞内Ca^<2+>濃度の変化の細胞内局在を検討した。培養細胞を潅流槽で持続的に緩衝液による潅流し、PDGF、vasopressin、アンジオテンシンIIを添加した。細胞内Ca^<2+>濃度はINDO-1-AMを用いて、共焦点レーザー顕微鏡により経時的に細胞内の一断面を蛍光側光した。上記の刺激因子に対して、同一の細胞の同一の断面で測定を行い、その変化を空間的に観察した。PDGFと、vasopressin、アンジオテンシンIIは活性化するphospholipaseのタイプが異なることより、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇する部位が、各々の物質により同一の細胞内でも異なることが期待されたが、培養平滑筋細胞では、その上昇部位に全く差を認めなかった。腺細胞などで報告されている、細胞内Ca^<2+>濃度の波動現象もみられず、平滑筋細胞のように極性を持たない細胞ではその動態が大きく異なると考えられた。
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