研究概要 |
ヒトエリスロポエチン(EPO)を組み込んだ組み換えアデノウィルス(AdCMVEPO)(1X107pfu)をChineseHamsterOvary(CHO)細胞と培養中皮細胞4/4RM-4(各1X106)に感染させヒトエリスロポエチン(EPO)の産生をラジオイムノアッセイで測定した結果、CHO細胞では55000mU/ml、4/4RM-4細胞では5440mU/mlであった。さらに、本年度は、腹膜中皮細胞が生体遺伝子導入の標的細胞として活用していけるか評価する目的で、in vitroでAdCMV-EPOにより中皮細胞に産生させたヒトEPOの生体活性を検討した。まず、AdCMVEPOにより培養中皮細胞4/4RM-4に産生させたヒトEPOと、同様にAdCMVEPOを感染させた時にツニカマイシン(糖鎖合成阻害剤)を添加した場合のヒトEPOの分子量をウェスタンブロット法でEPOCHRと比較検討した。4/4RM-4に産生させたヒトEPOはEPOCHRと同分子量で30.3kDaのあった。ツニカマイシン処理により糖鎖のつかない21kDaと22kDaの2本のバンドが検出された。次にAdCMVEPOにより4/4RM-4に産生させたヒトEPOのオリゴ糖をHPLC陰イオンクロマトグラフィーで解析したところ、22%は中性で78%は酸性であった。この酸性部分はニューラミニデ-スで処理すると認められなくなるのでシアル酸であると考えられた。 次に、腎性貧血をおこすモデルマウスDBA/2FG-pcy(22-24週齢,ヘマトクリット20-25%)にAdCMVEPO(1X108pfu/個体)を腹腔内投与し投与10、21、28、40日目の血中ヒトEPO値を測定して、生体内でAdCMVEPOにより中皮細胞に産生させたヒトEPOの発現を検討した。AdCMVEPO投与前の血中ヒトEPO値は29.4+/-5.4mU/mlであったが、投与後40日間の平均血中ヒトEPO値は2559mU/mlで、投与1日目に14730+/-930mU/mlの最大値を示し、40日目に至っても100mU/mlの高値が持続した。
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