研究課題/領域番号 |
07671264
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
酒井 紀 東京慈恵会医科大学, 第二内科, 教授 (40056560)
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研究分担者 |
白澤 卓二 財)東京都老人総合研究所, 分子病理, 研究員 (80226323)
高橋 孝宗 東京慈恵会医科大学, 第二内科, 助手
宇都宮 保典 東京慈恵会医科大学, 第二内科, 講師 (70231181)
河村 哲也 東京慈恵会医科大学, 第二内科, 講師 (20161367)
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キーワード | IgA腎症 / 原発性糸球体疾患 / サイトカイン / Jak3キナーゼ / 共通γ鎖 / 糸球体上皮細胞 / 非受容体型チロシンキナーゼ / 腎機能 |
研究概要 |
IgA腎症は原因不明の原発性糸球体疾患の中でもっとも頻度の高い疾患の一つである。糸球体病変は緩徐に進行し、最終的には30%の症例が数十年の経過の後に腎不全に陥ることが知られている。発症機序として、Tリンパ球およびBリンパ球における免疫学的異常がIgA免疫複合体の産生亢進をもたらしていると考えられている。糸球体では、IgA免疫複合体が異常沈着し、メサンギウム細胞が増殖し、硬化病変が形成される。IgA腎症では、サイトカイン、サイトカイン受容体、サイトカインに対する反応性の亢進が、IL-2、IL-4、TGF-βで報告され、免疫学的機序の一因と考察されている。 Jak3は、非受容体型チロシンキナーゼの一員でサイトカイン受容体、特にIL-2受容体γ鎖に会合し、サイトカインのシグナル伝達に必須のチロシンキナーゼ分子である。サイトカイン受容体自身は内因性のキナーゼ活性を持たないため、Jak3キナーゼの活性化はサイトカインの作用後に細胞内に発生するもっとも初期の生化学的変化である。Jak1、Jak2が組織非特異的な発現を示すのに対して、Jak3は組織特異的発現を示し、血液細胞、メサンギウム細胞でその発現を認める。最近、Jak3が共通γ鎖と会合し、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15のシグナル伝達に重要な役割を果たすことが明らかとなった。我々は培養メサンギウム細胞より、Jak3遺伝子を単離し、腎臓におけるJak3の役割を研究している。血液細胞、特にTリンパ球におけるJak3キナーゼの生理学的意義が研究されているが、血液以外での細胞、組織におけるJak3の意義は未だに不明である。 本研究課題では、調製された抗Jak3抗体を用いて、Jak3および共通γ鎖がIgA腎症患者の糸球体上皮に特異的に局在することを明らかとした。培養糸球体上皮細胞でもJak3および共通γ鎖の遺伝子発現を認め、糸球体上皮細胞でJak3が共通γ鎖を介してシグナルを伝達していることを示唆した。また、IgA腎症におけるJak3の局在は腎機能の低下と有意に相関することから、Jak3がIgA腎症の糸球体病変の形成に関与することを示唆した。
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