研究概要 |
ACE遺伝子16イントロンの多型性部分のPCRの条件設定はPrimerはRigatらと同一部分を用い、MgCl_2濃度は至適の2.5mMに変え、denaturation94℃,1分、annealing63℃,1分、extension72℃,2分とした。なおPCRの妥当性はSoubrierらから供与された625-bpのACEcDNA(nt2319-2944)を用いSouthern blot hybridizationにて確認できた。 健常日本人におけるACE遺伝子I/D多型性の分布が欧米人と異なることが明らかにされた。Allele I/Dはヨ-ロツパ人では0.43:0.57,アメリカ人では0.44:0.56であるのに対し、本検討の健常日本人(n=76)では0.57:0.43であり、allele Dよりallele Iが高頻度であることが示された。従つて日本人ではD allele過多が表現型としてDD型のみならず、ID型をとる可能性も示唆された。 10年以上の病歴のあるNIDDMで腎症発症群(n=80)ではII:ID:DDは13.7:62.5:23.8%であり、腎症非発症群(n=31)ではII:ID:DDは35.5:35.5:29.0%であつた。以上の結果からACE遺伝子II型の者で平成7年度実績の概要を以下に記す。 1)ACE遺伝子I/D多型性検討のためのPCR条件設定は達成できた。 2)Southern blot hybridezationによる1)のPCRの妥当性の検討は健常者12例で両方法の結果は全例一致していたことから確認でき、達成できた。 3)健常日本人におけるACE遺伝子I/D多型性の検討は達成できた。 4)10年以上の病歴のあるNIDDMにおけるACE遺伝子I/D多型性の検討は腎症発症群、非発症群とも予定通り進んでいる。 5)患者の高血圧素因とACE遺伝子I/D多型性の関係の検討においてはデーター収集を終えた。従つて当初の計画通り、研究はほぼ順調に進んでいる。
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