研究課題/領域番号 |
07671285
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤盛 啓成 東北大学, 医学部, 助手 (50238622)
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研究分担者 |
佐竹 正博 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70147370)
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キーワード | 甲状腺癌 / 甲状腺腫瘍 / 放射線被曝 / ビキニ事件 / がん遺伝子 / マーシャル諸島 / ヨード欠乏 / 慢性甲状腺炎 |
研究概要 |
研究の目的は1954年のビキニ事件で被曝した、マーシャル諸島住民を対象に低線量被曝と甲状腺腫瘍発生との因果関係を解明することである. 1)イ-バイ島(クワジェリン環礁)渋面1368人調査をもとにした疫学的解析を行った.1992年に測定された島々の土中の残留137Cs量(Dr.SL Simon)と1954年時の住民の居住地ごとの年齢補正有甲状腺結節率との相関性は統計学的に有意ではなかった.しかし、残留137Cs量とビキニ環礁からの角度(ビキニ環礁を通る緯線を0度とし経線を90度とする)が0-40度までの間で相関することにより、この角度の間で角度と年齢補正有甲状腺結節率との関係を検討すると、触診でふれる結節頻度で負の相関性が認められた.この検討ではビキニより500km離れたリキエップにおいても被曝後40年経過した時点で甲状腺結節頻度が高い可能性があるという結果が得られた.すなわち、今まで被曝の影響がないとされていた程度の被曝量でも結節性甲状腺腫の有病率が高くなっている可能性が示唆された. 2)遺伝子の解析では、マジュロ住民の甲状腺結節から穿刺吸引細胞診で得られた70検体のK-ras oncogene異常の検索を終了した.その結果、チェルノブイリで認められたcodon61の異常は認められなかった.すなわち、現在のマーシャル住民に認められる甲状腺腫瘍はチェルノブイル住民とは異なった病因によることが示唆された. マジュロ環礁住民の5000人を越える調査結果のデータベース作成がマーシャル諸島政府の意向で完了できず、推定被曝量のも決定も終了できなかった.そのため、本年度内までに確定的な疫学的解析結果を得ることができなかった.
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