研究課題
一般研究(C)
NZW-Rabbitに対し、run-off不良状態を生じさせ、腹部大動脈を人工血管(ePTFE)での置換をおこなった。通常の状態では良好な開存性と長期生存が得られた。しかし、run-off不良モデルでの置換では、置換した人工血管の早期閉塞とこれに起因する死亡例がかなりの高頻度で発生した。アロキサン投与に関しては手術侵襲からの回復を待った時期の投与が良いことが判明した。本粘度の研究経過 前年度の経過から侵襲を押さえた上で末梢側のrrun-offを低下させる術式の確立が容易ではないことが判明した。糖尿病を発症させる以前に血行再建術後の長期経過観察による検討、評価を行うための基礎的実験系の確立が肝要と考えられ、この対策のために以下の2種類の方法を試みた。1)run-off低下の程度を抑えた系での人工血管移植。2)run-offは以前と同様に低下させるが、開存性の向上のため自家静脈を使用する。1)では両側の大腿動脈結紮例、一側の大腿動脈結紮例、一側は大腿動脈対側は腸骨動脈結紮例の3通りに分け最適モデルを追求した。一側の大腿動脈のみの結紮では術後の長期生存が得られることは判明したが、犠死での標本でrun-off良好群と同等の所見しか得られず、結果的に十分なrun-off低下群とはならなかった。また一側の大腿動脈と対側の大腿ないし腸骨動脈の結紮群は手術侵襲が大きく早期死亡例が多く現在十分な症例数が得られていない2)では煩雑な手術術式と侵襲の大きさのため術死が多く数例の試行に止まっている。以上より本研究による実績は実験系の確立が困難なため現段階ではそれに相当する結果は出ていない。