研究課題/領域番号 |
07671293
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新本 春夫 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30281702)
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研究分担者 |
小見山 高士 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
安原 洋 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50251252)
重松 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40134556)
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キーワード | 重症虚血肢 / 糖尿病 / 吻合部内膜肥厚 / 人工血管 |
研究概要 |
前年度の研究経過 NZW-Rabbitに対し、run-off不良状態を生じさせ、腹部大動脈を人工血管で置換したモデルの確立を試みた。しかし、置換した人工血管の早期閉塞とこれに起因する死亡例が高頻度で発生し、本モデルの確立が容易ではないことが判明した。このため糖尿病を発症させる以前に血行再建術後の長期経過観察による検討、評価を行うための実験系の確立が肝要と考えられ、この対策のために以下の2種類の方法を試みた。 1)run-off低下の程度を抑えた系での人工血管移植 2)run-offは以前と同様に低下させるが、開存性の向上のため自家静脈を使用する。 1)では両側の大腿動脈結紮例(A)、一側の大腿動脈結紮例(B)、一側は大腿動脈対側は腸骨動脈結紮例(C)の3群で検討した。(A)群では術後の長期生存を得たが、血行動態上はrun-off良好群と同等の所見しか得られず、結果的に十分なrun-off低下群とはならなかった。また、(B)群(C)群および2)では煩雑な手術術式と侵襲の大きさのため術死が多くモデルとして確立できなかった。 今年度の研究経過 前年度の結果をふまえ、今年度も引き続き実験モデルの確立を試みた。術後の早期死亡例が多いのは、動脈結紮術と、人工血管置換術を同時に行ったことによると考え、今年度は、まず両側の大腿動脈を結紮術を施行し、一定の回復期間をおいた後人工血管置換術を行った。回復期間については、1週間、2週間、4週間を設定し比較した。この結果、2週間以上の期間をあけると生存率は向上するが、期間が長期になるに従い、側副血行路の発達が著しく進行していた。現在はこの系を用いて、糖尿病を発症させるべく、アロキサンの投与時期、量等を検討中である。 以上より、本研究は現段階において実験モデル確立の最終段階に達したが、血管吻合部および細胞組織科学的検討にまでは至っていない。
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