細胞株は、ヒト胃癌由来のMKN-28、MKN-45、同じく大腸癌由来のSW-48、HCT-15を用いた。各細胞を、プレートに付着した状態と培養液中に浮遊した状態で12時間ないし24時間cDDP(5μM、10μM)に接触させた。その後、Metの細胞内へのuptakeを^<14>C-Metを用いて測定した。さらに、^3H-dThdのuptakeを同様に測定した。なお、^<14>C-Metと^3H-dThdのuptakeは生細胞数にて補正した。細胞がプレートに付着した状態では、cDDPの濃度や接触時間に関わらず、MetのuptakeはMKN-45において最も抑制されていた。特に24時間接触の後は、71.6%のMetのuptake阻害が観察された。また、24時間接触後はSW-48においても54.2%のMetのuptake阻害が観察された。一方、dThdのuptakeをみると、12時間接触、24時間接触ともにMKN-45で最も抑制されていたが、Metのuptake阻害と比較するとその阻害率は低率であった(22.2%vs45.4%、39.8%vs71.6%)。細胞が培養液中に浮遊した状態では、いずれの細胞においてもcDDPによるMetのuptake阻害は認められなかった。以上より、(1)cDDPによるMetのuptake阻害作用は、4種の細胞のうち3種で認められが、その程度はさまざまであった。(2)MKN-45では、dThdのuptakeによって補正した後も明らかなcDDPによるMetのuptake阻害が認められた。(3)cDDPによるMetのuptake阻害は、いずれの細胞も浮遊細胞の状態におくと認められなくなった。 現在、cDDPによるMetのuptake阻害が最も顕著に認められたMKN-45と、反対にほとんど阻害作用が観察されなかったHCT-15を用いて、cDDP接触後の細胞内葉酸濃度の変化を測定中である。
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