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1996 年度 実績報告書

消化器癌転移における接着因子とサイトカインの役割

研究課題

研究課題/領域番号 07671303
研究機関大阪大学

研究代表者

村田 厚夫  大阪大学, 医学部, 講師 (00200288)

研究分担者 松浦 成昭  大阪大学, 医学部, 教授 (70190402)
大橋 一朗  大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
田村 茂行  大阪大学, 医学部, 助手
矢野 雅彦  大阪大学, 医学部, 助手 (70273646)
冨田 尚裕  大阪大学, 医学部, 助手 (00252643)
キーワード癌 / 臓器特異性転移 / 接着分子 / サイトカイン / 細胞外基質 / 細胞遊走 / インテグリン
研究概要

昨年度、私たちは癌の転移にサイトカインが接着分子の発現を亢進させることにより、大きな影響を及ぼすことを見いだした。本年度はサイトカイン、接着分子の癌の転移の臓器特異性における役割について検討した。癌の転移にはPagetが「Seed and Soil Theory」で述べたように、臓器特異性が存在する。臓器特異的な癌の転移がどのようにおこるかということは転移の治療へとつながっていくと考えられるので、その分子機構の解明には興味が集まっている。材料として、私たちが食道癌患者胸水から樹立した株細胞MAGを用いた。これを用いたのは消化器外科の領域で食道癌は最も転移性の高い癌であること、MAGはヌードマウスで腫瘍を形成するのみならず、高い転移性を有することをすでに見いだしているからである。MAGをヌードマウスの足蹠への皮下注射、尾静脈への注射、脾臓への注射と直後の摘脾術をそれぞれ行うと、リンパ節転移、胚転移、肝転移が起こるのを予備実験で確認した。転移腫瘍巣から細胞培養系に移し、数代経代した細胞を再び注射すると初回よりも速く各転移が観察された。この操作を5回繰り返すことにより、リンパ節高転移株、肺高転移株、肝高転移株細胞をそれぞれ樹立することができた。これらを用いて細胞の増殖速度、細胞外基質に対する接着性、細胞遊走能、マトリゲルへの細胞湿潤能、インテグリン分子の発現、サイトカイン分泌能を検討した。その結果、各高転移株は母細胞に比して、いずれも増殖速度は減弱していたが、細胞接着能、遊走能、浸潤能は有意な亢進が認められた。この亢進は細胞表面のインテグリンの発現およびサイトカイン分泌能の変化に伴って認められた。この結果より、接着分子インテグリンの発現、サイトカインの分泌は癌の転移の臓器特異性に重要な役割を果たしていることが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Kitagawa K.,Murata A.,et al.: "Epithelial-mesenchymal transformation of a newly established cell line from ovarian adenosarcoma by transforming growth factor-b1" Int.J.Cancer. 66・3. 91-97 (1996)

  • [文献書誌] Matsuura N.,Takada Y,et al.: "Induction of experimental bone metastasis in mice by transfection of integrin α4β1 into tumor cells." Am.J.Pathol.148・1. 55-61 (1996)

  • [文献書誌] 松浦成昭、村田厚夫: "インテグリンと癌転移" 外科. 58・5. 548-552 (1996)

  • [文献書誌] 松浦成昭、村田厚夫、高田義一: "癌の転移におけるインテグリン発現の意義" Biotherapy. 10・4. 632-636 (1996)

  • [文献書誌] 松浦成昭、加藤玲子、村田厚夫: "癌転移と細胞接着" 血液・腫瘍科. 32・6. 528-536 (1996)

  • [文献書誌] 松浦成昭、村田厚夫: "インテグリンと癌転移" 現代医療. 28・9. 2213-2216 (1996)

  • [文献書誌] Murata A,Kato T,et al: "Shock From Molecular and Cellular Level to Whole Body" Elsevier, 483 (1996)

  • [文献書誌] 村田厚夫: "シリーズがん医学入門第3巻「がんをどう治すか」" 中山書店, 126 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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