研究課題/領域番号 |
07671303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 厚夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00200288)
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研究分担者 |
松浦 成昭 大阪大学, 医学部, 教授 (70190402)
大橋 一朗 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
田村 茂行 大阪大学, 医学部, 助手
矢野 雅彦 大阪大学, 医学部, 助手 (70273646)
冨田 尚裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00252643)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 癌 / 臓器特異性転移 / 接着分子 / サイトカイン / 細胞外基質 / 細胞遊走 / インテグリン |
研究概要 |
1)血管内皮細胞をIL-1で刺激し、マウスメラノーマB16細胞を加えると、未刺激では弱い接着しか見られなかったのが著明な接着性の亢進を示した。その接着は抗インテグリンα4抗体あるいは抗VCAM-1抗体で阻害を受けるので、B16細胞上のインテグリンα4β1がIL-1刺激で内皮細胞に誘導されたVCAM-1と接着していると考えられた。そこで、マウスでのB16細胞の肺転移に対するIL-1の影響を検討した。IL-1を前投与すると、非投与群に比べ肺転移の著明な増加が見られ、その増加は抗α4抗体で抑制された。in vitroの結果と合わせて、IL-1の前投与により肺血管の内皮細胞にVCAM-1が誘導され、インテグリンα4β1をもったB16細胞の肺転移が促進されたと考えられた。 2)癌の転移の臓器特異性におけるサイトカイン、接着分子の役割について検討した。食道癌患者胸水から樹立した株細胞MAGのヌードマウスの足蹠への皮下注射、尾静脈への注射、脾臓への注射をそれぞれ行うと、リンパ節転移、肺転移、肝転移が起こる。転移腫瘍巣から細胞培養系に移し、数代経代した細胞を再び注射すると初回よりも速く各転移が観察された。この操作を5回繰り返すことにより、リンパ節高転移株、肺高転移株、肝高転移株細胞をそれぞれ樹立することができた。これらを用いて細胞の増殖速度、細胞外基質に対する接着性、細胞遊走能、マトリゲルへの細胞浸潤能、インテグリン分子の発現、サイトカイン分泌能を検討した。その結果、各高転移株は母細胞に比して、いずれも増殖速度は減弱していたが、細胞接着能、遊走能、浸潤能は有意な亢進が認められた。この亢進は細胞表面のインテグリンの発現およびサイトカイン分泌能の変化に伴って認められた。 以上の結果より、接着分子インテグリンの発現、サイトカインの分泌は癌の転移性および転移の臓器特異性に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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