研究課題/領域番号 |
07671306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
合地 明 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10186877)
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研究分担者 |
松原 長秀 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
清水 憲二 岡山大学, 医学部, 教授 (10037286)
田中 紀章 岡山大学, 医学部, 教授 (10127566)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | Colon cancer / genetic instability / E2F-4 / MSH3 |
研究概要 |
近年の分子生物学の発達により消化器外科領域の癌については大腸癌を中心にして癌化や悪性化の仕組がわかってきた。現在までに大きく2つの癌化機構が考えられている。一つは、いわゆるgenomic instability型で、染色帯の不安定さを伴い主として幾つかの癌抑制遺伝子の変異を伴う経路で比較的良く研究されている。二番目は、いわゆる遺伝子不安定性を示すgenetic instability型で、DNA複製に伴うミスマッチ修復不全が原因となり、主として単純な繰り返し配列(microsatellite遺伝子)の突然変異を伴う経路で、これに関与する癌関連遺伝子群はあまり良く分かっていない。 我々は後者の経路について癌関連遺伝子探しを行ってきた。まず着目したのはE2F-4である。この遺伝子は細胞周期に関与する遺伝子の一つで重要な転写活性因子に位置付けられおり、蛋白のコード領域にmicrosatelliteを含んでいる。大腸癌手術症例の癌部、非癌部の検討で、遺伝子不安定性を示す癌だけにE2F-4遺伝子の高率な突然変異を見いだし報告した。その後、我々の共同研究者であるメリ-ランド大学のメルツアー博士のグループは、さらに胃癌や潰瘍性大腸炎に伴った腫瘍においても同様の遺伝子変異を高率に見つけ、我々と共同でCancer Res.に報告した。又今年の米国癌学会および米国DDWにおいても発表したが、我々の研究は大腸研究の世界的権威Stanley Hamilton博士により米国癌学会のサンライズセッションでも取り上げられた。この全く新しい遺伝子変異が消化器癌の癌化にどような機構を介して関係しているのか現在検討中であるが、現在幾つかの知見が得られつつある。一つは、この遺伝子変異の前に、mutator遺伝子MSH3の突然変異が起こり、これが引き金になってE2F-4の変異を生じていることがはっきりしてきた。
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