研究概要 |
1)肝阻血によるクッパー細胞阻害剤の効果 WKAラットを用いて肝の部分阻血を行う。1atera1 lobe,及びcentral lobeを70分阻血し、血流再開後に非阻血葉(central,caudate lobe)を摘出し、術後経時的に生存率、肝血流量、胆汁産生量、肝機能(GOT,GPT,ALP,LDH,Alb,T.BIL,NH3)を測定した。また阻血された部分肝のクッパー細胞を単離し、TNF,IL-6,IL-8産生、プロスタグランデイン産生について検討した。肝逸脱酵素の上昇と胆汁産生量の低下が動物の生存率低下と関係していることが判明した。レーザー血流計による肝血流測定は個体差のバラツキが大きく解析不能であった。クッパー細胞阻害剤の効果について検討した。GdCl3(7mg/kg/day)を阻血の24,48時間前静脈内投与によりサイトカイン(TNF産生)を抑制及びGTPの上昇が抑制された。 2)肝移植モデルにおけるクッパー細胞阻害剤の硬化 肝移植におけるクッパー細胞の役割について検討した。ドナーにGdCl3(7mg/kg/day)を投与して肝を摘出し12時間冷保存して移植した。無処置群では全例死亡したがGdCl3投与群では60%が長期生存した。肝のクッパー細胞のサイトカイン産生を調べたところ、GdCl3(7mg/kg/day)投与群ではTNF産生が有意に低下していた。しかしプロスタグランヂンの産生は無処置群とGdCl3(7mg/kg/day)投与群で有意差は認めなかった。 3)障害肝モデルを用いた実験 Dimethyl nitrosamineにて障害肝モデルを作製して1)2)の実験を行う予定であったが、動物個体差のためかデータがバラつき現在の時点では結果が得られていない。来年度の研究項目として考えている。
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