平成7年度の検討から、本寛容系により誘導されるキメラ状態はリンパ球レベルのみであり骨髄レベルではないこと、皮膚片の代わりに心臓を移植した場合にはMHC抗原の違う組み合せにおいても永久に生着すること、MHC抗原のみ違う組み合せであるB10.D2(H-2^b)→B10(H-2^b)をdonor→recipienrの組み合せにおいて本寛容誘導系であるClonal Destructionは誘導されるが、キメラ状態の誘導は一時的であり、皮膚移植片の生着延長とキメラ状態の終焉に相関関係があることが判明した。 MHCの壁を越えた永久的なキメラ状態の誘導、免疫寛容の誘導を目指して改良されたプロトコールが平成8年度より検討を開始したSC+CP+BU+BMCsプロトコールでありこれによりB10.D2(H-2^b)→B10(H-2^b)をdonor→recipienrの組み合わせにおいてClonal Desuructionは誘導され、永久的なキメラ状態の誘導、皮膚移植片の生着がえられた。このことからMHCの壁を超えた薬剤誘導性免疫寛容modelがrodentにおいて実現の可能性が高まった。本研究で最終的に目指しているのは大動物での薬剤のみによる免疫寛容状態の普遍的導入低毒性プロトコールの開発であるが、今回の、マウスレベルではあるがMHCの壁を超える可能性が示唆されたことは大きな成果であると思われる。
|