研究概要 |
平成8年度では前年度に引き続き,リンパに含まれる凝固・線溶因子として,Tissue Factor(TF)とそのインヒビター(TFPI)に関して,抗原測定法(ELISA)を用い,血漿と比較検討した。その結果,TFおよび遊離型TFPIともリンパに存在することが明らかになった。特に,血管内皮細胞で産生されるTFPIがリンパ液中に認められることは、リンパ管内皮細胞でもTFPIが産生されるか,あるいは毛管血管より濾過された後にリンパ管に再吸収されたのか,いづれかを意味する。 一方,胸管および血管に対する免疫組織学的検討に関しては,第VIII因子関連抗体,組織型プラスミノゲン・アフチベータ(t-PA),ウロキナーゼ型プラスミノゲン・アクチベータ(u-PA)およびトロンボモジュリン(TM)に対する抗体を用いて行なった。リンパ管内皮細胞には上記のいづれも発現が認められ,血管内皮細胞と同様に抗血栓性を有しているものと考えられる。現在,TFおよびTFPIに対する抗体を用い,検討を始めている。 また,胸管内皮細胞の培養も昨年に引き続き行なっているが,培養糸の確立には至っていない。
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