研究概要 |
筋肉が再神経支配を受けるまでの間,別の神経による早期からの神経支配を与えることによって脱神経萎縮を予防できることができる(babyshitter効果)かどうかを検討した。 Wistar系ラットを用い,以下の操作を行った。左下肢で脛骨神経から分岐して腓腹筋外側に分布する神経枝を剥離露出し,これを可及的に中枢まで分離して切断,一群ではこれを直ちに10-0ナイロンにて縫合(神経縫合群),もう一群では同側より採取した腓腹神経(1cm)を移植して縫合した(神経移植群)。内側頭への分枝は切断した。同時に腓腹神経を剥離露出し,切断後その中枢断端を腓腹筋外側頭に埋入固定した。右下肢は対照として腓骨神経の埋入操作のみを除いて同じ操作を行った。4ヵ月後開創し,両群を比較した。その結果、腓腹筋の湿性重量,筋線維の直径に関しては左右で有意の差を認めなかったが(湿性重量[左/右]:神経縫合群117%,神経移植群124%,筋線維直径[左/右]:神経縫合群115%,神経移植群108%),等尺性収縮力については,神経移植群では左右で差がなかったのに対し神経縫合群では左側(神経埋入側)で約13%の増加を認めた。これにより,本来の神経からの再神経支配(neural neurotization)遅延すると,前処置としての神経埋入操作(direct neurotization)は,筋肉収縮を増加させない可能性(すなわちbabyshistter効果がない)が示された。 現在,モデルとして神経移植群を作成しており,これに一定の期間を置いて埋入した神経の切断操作を加えることを予定している。次の段階として,埋入した神経からの神経支配を断つことによって,筋縮力に差が出るかどうかを検討する。
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