サイトケラチン19mRNAをRT-PCR法で、K-ras遺伝子コドン12の点突然変異をenriched-PCR法で検出することにより以下の点が明らかにされた。 1。骨髄より採取された検体についてサイトケラチン19mRNAを検討すると、乳癌患者では70%程度と高頻度に検出されたが、癌以外の血液疾患で採取された骨髄検体でも約半数に検出され、癌患者に特異的ではなかった。 2。健常成人より末梢血を採取し、有核細胞成分のみを分離しRNAを抽出してサイトケラチン19mRNAを検討しても検出されかなった。 3。術前の乳癌患者53例より末梢血を採取しRNAを抽出し、サイトケラチン19mRNAを検討すると、約30%の症例で検出された。再発患者では9例中7例で検出され、再発患者で有意に高率であった。 4。食道患者16例についても末梢血を採取し、有核細胞分を分離後RNAを抽出しサイトケラチン19mRNAを検討したところ7例で検出された。 5。サイトケラチン19mRNAが末梢血中で検出された食道癌症例は、検出されなかった症例に比較し進行癌が有意に多く認められた。 6。膵癌患者7例より術中に門脈血を採取し、DNAを抽出してK-ras遺伝子コドン12の点突然変異を検討すると、肝転移が認められた1例でK-ras遺伝子の点突然変異がみとめられた。 7。膵癌患者より手術時に得られたリンパ節、神経叢を検討したところ、病理学的には癌細胞が認められないと診断されたさた症例でも、腫瘍と同一のK-ras点突然変異が認められた。
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