研究概要 |
乳癌免疫シンチグラフィーの臨床応用を念頭において高分化腺癌の特徴的に発現しているレセプター型蛋白,プロトオンコジーンc-erbB-2産物を標的としたモノクローナル抗体シンチグラフィーを行った。 まず、c-erbB-2発現が確認されているヒト乳癌由来の細胞株YMB-1(JCRBより供与)を培養し、ヌードマウスに移植,担癌マウスを作成した。 クロラミンT法による^<125>I標識抗c-erbB-2抗体を担癌マウスに静注後、全身オートラジオグラフィーによりYMB-1腫瘍へのRI集積度を経時的に観察した。抗体投与後30分では、肝臓、腎臓への集積が著名であったが、時間の経過とともに減少し、8時間後において背部に移植した腫瘍への良好な集積が観察された。 また、同時に施行した腫瘍組織の抗c-erbB-2モノクローナル抗体を用いた免疫組織染色により、細胞膜にc-erbB-2染色陽性を確認した。 これらの事より、^<125>I標識抗c-erbB-2モノクローナル抗体による免疫シンチグラフィーの有用性が良好な腫瘍描出により確認され新しい乳癌画像診断としての臨床応用が期待された。 さらに、放射性核種標識(^<125>I)によるモノクローナル抗体の免疫活性(IR)が低下しない事を確認すべく、現在hydroxylapatite高速液体クロマトグラフィーにによる分離・精製された、IRの異なる抗体を用いた実験を考案し、これを証明して直ちに投稿を予定している。
|