研究課題/領域番号 |
07671334
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 助教授 (60160008)
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研究分担者 |
安藤 潔 東海大学, 医学部, 講師 (70176014)
堺 秀人 東海大学, 医学部, 教授 (80102846)
島村 和男 東海大学, 医学部, 助教授 (00119679)
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キーワード | ヒト表皮細胞 / 糖尿病 / インスリン / 遺伝子治療 / 免疫不全マウス / 細胞移植 / アデノウイルスベクター |
研究概要 |
ヒト皮膚細胞は単離してin vitroで増殖培養を行い、その後再び生体に移植してヒト皮膚組織を再現することができる。従って、自己皮膚細胞に内分泌遺伝子を導入し移植することによって、拒絶反応、異物反応などの見られない人工的内分泌器官を作製することが可能と考えられる。本年は、virus vectorを用いて皮膚細胞にproinsulin遺伝子を導入し、遺伝子導入細胞のin vitroおよびin vivoにおける機能について基礎的な検討を行った。 MTTpromotorにヒトpreproinsulin C-DNAを連結したものを組み替えたadenovirus vectorを作製した(rAdMTins)。これを各種ヒト上皮系細胞株およびヒト表皮細胞に感染させたところ、Zn+存在での培養上清中にpreproinsulin活性が認められた。また、rAdMTinsを感染させた細胞株を免疫不全マウス(balb/cnu/scid)に移植すると、24時間後に血糖の低下と血中proinsulin濃度の上昇が認められた。さらに、ストレプトゾシン誘発糖尿病免疫不全マウスに、rAdMTinsを感染させたヒト表皮細胞を線維芽細胞とともに皮下移植すると、一過性に血糖の低下が認められた。retrovirus vectorは現状ではヒト表皮への感染効率が低く、改良が必要と考えられた。 以上から、高い効率で遺伝子を導入、発現させることができれば、ヒト皮膚細胞は人工的内分泌器官として充分機能するものと考えられ、いくつかの問題を解決すれば実用の可能性があるものと予測された。
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