研究概要 |
最近開発されているPhotosensitizer(PS)の中で注目されているものの一つにChloroaluminium sulfonated phthalcyanine(Pc)があり,新生内膜肥厚(IH)治療の有用性が報告されている.ligand結合Chlorine e6の結果をふまえ,実際に応用の可能性の高いPSであるPcでの検討を行った.In-vitro study:Pcとligandのmaleylated-bovine serum albumin(mal-BSA)を結合させたものとfree-Pcをmacrophageとincubateさせその取込みを比較検討した.free-Pcと比較してmal-BSA-Pcは有意に高く、細胞質内に取り込まれ,その蛍光パターンは斑点状を示した.この結果からmacrophageがligand結合によるスカベンジャー経路を介しmal-BSA-Pcを選択的に取り込んでいることを示した.In-vivo study:体重350-450gのRatを使用し,全身麻酔下にFogarty balloon catheterによる動脈傷害モデル(IH)を作成し、3type[Free Pc,BSA-Pc,mal-BSA-Pc]のPcを静脈投与した,2週後の新生内膜形成時期にmal-BSA-Pcはmal-BSA-Cle6投与と同様の集積動態を示し,mal-BSA-Texas Red(既報告)と比較するとやはり特異的取込み度はやや低下したものの,IH(特に内側)に高い集積を示し,またfreePc及びBSA+Pc投与群に比較して,IHへの集積性が向上しmal-BSA+Paのphotodynamic therapy(PDT)応用への有用性が示唆された.次にmal-BSA+Pc投与及びfree-Pc投与群に対し50J/cm2のenergy densityにてPDT施行後4日目の急性期での組織学的検討を行った.mal-BSA-Pc投与群では細胞成分の消失,傷害がIHを中心に強く認め,free-Pc投与群に比しIH厚/中膜厚比が有意に低値を示した.血管領域で注目されているPcにLigand結合させ検討した結果,Pcはphotosensitizerとして効果的に機能し,Free-Pc群と比較しIHにより強い細胞傷害を与えることが解り,scavenger recepter targeting photodynamic destrucionの有用性が示唆された.上記内容は1997年度日本脈管学会にて発表予定.
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