研究概要 |
胃粘膜上皮細胞の粘液顆粒放出に対するcGMPの関与 -ビデオ強調型顕微鏡システムを用いて- 【成績】 (1)3mMの8bromo cGMP単独刺激での開口放出反応は,安静時に近い非常に弱い反応だった.0.1mMおよび1mMの濃度でも同様の刺激を行ったが,粘液顆粒の放出反応はみられなかった.(2)3mMのcGMPに1μMのCChを加えて同時刺激した場合の反応では,CCh単独刺激時よりも,さらに放出反応が亢進している傾向を認めた.こうした開口放出反応の頻度を集計し統計処理したところ,CCh単独刺激における放出反応の3分間での総数は平均59.6±5.8だったのに対し,cGMPとCChの同時刺激では平均98.1±7.6であり,P値0.028とCCh単独刺激時に比べて,粘液分泌反応が有意に高価を示した. 【考察・結語】 我々の観察法によると,8bromo cGMPでの単独刺激では,3mMという高濃度で,始めて開口放出を認めた.cGMPが胃粘膜上皮細胞における粘液分泌のメディエタ-の一つであると言われるが,分泌の最終過程である開口放出に関する限り,cGMP単独では強力な作用はないと思われた.しかし,1μMのCCh刺激による開口放出反応は3mMの8bromo cGMPとの同時灌流による刺激で有意に亢進するとの結果が得られた.こうしたNO-グアニル酸シクラーゼ系での最終伝達物質とされるcGMPとCChとの同時刺激で,明らかな増強効果が認められたことにより,NOが開口放出反応の機序に関与している可能性が示唆された.
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