TGF-Bファミリーに属するアクチビンは肝細胞のオートクリン増殖抑制作用を有する。フォリスタチンはアクチビン特異的結合蛋白質であるがアクチビンの作用をブロックする。このアクチビン、フォリスタチン系の制御により有効な肝再生法を開発することを目的にして平成7年度は1)肝再生における有効なフォリスタチン投与法の決定、2)フォリスタチンの効果を90%ラットにおいて検討する、3)フォリスタチンの副作用の検討の3点の研究計画を立てて実験を行なった。1)に関しては^<[125>I]を抹消静脈から投与して、これが特異的に肝臓に集積し、この集積が72時間持続することを見いだした。従って、72時間後に追加投与しフォリスタチンが肝内に持続的に集積している状態を作成することにより肝再生が有為に促進されることが推測され、実際に2回のフォリスタチン投与により有為に再生が促進指されることを確認した。この成果はHepatology (in press)に投稿中である。2)に関しては90%肝切除を行なうと殆どのラットは早期に死亡し長期生存が得られなかったので安定して生存できる90%肝切除法の開発を行ない、いくつかの手術法の工夫の結果、生存率を改善することが出来た。このモデルにより極限まで肝切除を行なった後の肝再生の生理を明らかにする糸口ができた。3)に関しては70%肝切除においてはフォリスタチンの副作用は出現しにくいが極限的な90%肝切除ラットにおいてはインスリン分泌抑制などの副作用が出現することが確認された。これらの詳細なメカニズムに関しては今年度に検討する予定である。以上、平成7年度の3点の研究計画に関してはほぼ、計画どおりの成果を得ることができた。
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