研究概要 |
TGF-Bファミリーに属するアクチビンは肝細胞のオートクリン増殖抑制作用を有する。フォリスタチンはアクチビン特異的結合蛋白質であるがアクチビンの作用をブロックする。このアクチビン、フォリスタチン系の制御により有効な肝再生法を開発することを目的にして平成8年度は1)肝再生における有効なフォリスタチン投与法の決定、2)フォリスタチンの効果を90%ラットにおいて検討する、3)フォリスタチンの副作用の検討 の3点の研究計画を立てて実験を行なった。1)に関しては^<[125>I]を末梢静脈から投与して、これが特異的に肝臓に集積し、この集積が72時間持続することを見いだした。従って、72時間後に追加投与しフォリスタチンが肝内に持続的に集積している状態を作成することにより肝再生が有為に促進されることが推測され、実際に2回のフォリスタチン投与により有為に再生が促進指されることを確認した。この成果はHepatology[24(2):361-366,1996]で報告した。2)に関しては特に、ラットを絶食にしておくことで安定して生存できるラットの90%肝切除モデルを確立することが出来た。これにより、90%肝切除においては肝再生率にあたえるフォリスタチンの効果は90%肝切除におけるよりもより強力な肝再生効果を有することが判明した。3)に関しては極限的な90%肝切除ラットにたいしフォリスタチンを門脈注すると小さな残肝に与える影響が大きく副作用が出やすい、しかし、投与法の工夫、投与量の調節でその効果を引き出せることが示唆されたので現在これを検討中である。また、Flow cytometryによる肝細胞の分裂周期動態も検討中である。以上、平成8年度の3点の研究計画に関してはほぼ、計画どおりの成果を得ることができた。
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