研究課題/領域番号 |
07671362
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
更科 広實 千葉大学, 医学部, 助教授 (10110678)
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研究分担者 |
滝口 伸浩 千葉大学, 医学部, 助手 (00261917)
布村 正夫 千葉大学, 医学部, 助手 (20208276)
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キーワード | 胃癌 / EBウィルス(Epstein-Barr Virus) / ウィルス抗体価 / 腫瘍マーカー / EBV関連胃癌 / HLA / 接着分子 / リンパ上皮腫型胃癌 |
研究概要 |
我々は平成4年より胃癌とEpstein-Barr Virus(EVB)との関連性を研究しており、今年度新たに得られた知見は下記のとおりである。 (1)EBV関連胃癌症例の臨床的特徴:EBV関連症例は全胃癌の4.9%を占めており、対照群に比し肝転移、腹膜播種が少ない傾向がみられたが、リンパ節転移率の差は認められなかった。(2)表面形質の解析:新鮮標本を用いた検索により、EBVを含む胃癌細胞では細胞接着分子(LFA-1,ICAM-1)やHLAクラスII抗原の増強する傾向が示された。しかしながら上記抗原発現が減弱している症例もみられた。(3)抗EBV抗体価の測定:EBV関連胃癌患者では諸種のEBV抗体価が上昇している傾向がみられたが、特に抗early antigen-IgG抗体価と抗viral capsid antigen-IgG抗体価上昇が特異的であり、腫瘍マーカーとして用いる可能性が示唆された。(4)浸潤リンパ球の検索:リンパ上皮腫型胃癌においては、浸潤リンパ球はTリンパ球が主体であるがリンパ球の増加とともにBリンパ球を主体とするリンパ濾胞の形成も認められる。Tリンパ球としてはCD4陽性リンパ球が有意であった。T細胞受容体(TcR)レハトアの検索は症例が少なく不十分であった。(5)HLAタイヒング:EBV関連胃癌症例数例に対しHLAタイヒングを行ったが、現在の症例数では統計学的処理は困難である。(6)EBVのlytic cycleの検索:EBV関連胃癌組織内でEBV産生を示唆する所見は得られていない。 以上が今年度の結果であるが、今後とも症例数を増やし研究を継続していきたい。
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