研究概要 |
第18番染色体長腕(18q)の染色体の欠失(LOH)を調べ、大腸癌の再発や予後との相関を検討した。 (材料および方法) 術後、3年以上経過している大腸癌手術症例80例を用いた(DukesA 10例、B 23例、C 47例)。18qに存在する癌抑制遺伝子であるDCC内のマイクロサテライト(MS)の多型性を利用し、LOHを調べた。 (結果) 遠隔転移による死亡は、DCCのLOHが見られないものでは3/15(20%),LOHの見られるものでは13/31(42%)であった。治癒切除例で、遠隔転移再発(肝転移再発)は、DCCのLOHが見られないものでは2/13(15%),見られるものでは6/18(33%)であった。単変量解析では有意差がでなかったが、有意に生存に関与していたDukes分類と(p=0.019),組織型(p=0.002)を考慮に入れた多変量解析を行ったところ、DCCのLOHのある症例は、術後生存期間が短いという傾向がでた(p=0.056)。 (結論) DCC遺伝子の存在するの18qのLOHの見られる大腸癌は、生存期間が短い。また、有意差は見られなかったもの18qのLOHある大腸癌は、肝転移再発が高く、再発の指標になる可能性が示唆された。現在、症例を増やして検討中である。
|