研究概要 |
(1)消化器癌組織中のu-PA、PAI-1及びPAI-2抗原量は健常組織に対して有意に高いことが再確認された。(食道:uPA:0.053±0.019 vs 0.496±0.329、胃:uPA:0.048±0.047 vs 0.419±0.380、PAI-1:0.206±0.479 vs 0.621±0.757、PAI-2:0.926±1.716 vs 5.212±8.337ng/mg protein)また、尿中u-PAは、癌患者で高く、t-PAは健常者と担癌患者に差はなかった。 (2)大腸癌において、u-PA高値のものが予後不良であることが判明した。(u-PA 0.6ng/mg proteinをcut off値とすると、高値群の生存率は低値群に対して有意に低かった。p<0.01) (3)またPAI-2高値のものはリンパ節転移が少ないことから、PAI-2がリンパ節転移に抑制的に働くことが示唆された。 (4)ヒト大腸癌および胃癌からu-PA含有量の異なる腫瘍細胞株の系代に成功した。(u-PA高値株:TK13:2.0,TK4:1.6,低値株:TK3:1.4,TK9:1.3,TK10:1.0,TK11:1.2 ng/mg) (5)ヌードマウス可移植性ヒト大腸癌細胞株を使った大腸癌自然肝転移モデルを用い、線溶抑制物質(メシル酸カモスタット)による転移抑制実験では、メシル酸カモスタットは転移抑制効果が認められなかった。しかし局所の腫瘍増殖には抑制的に働くことが判明した。(肝転移数:Control群:5.4±4.4,治療群:6.2±3.6、原発巣の腫瘍重量:Control群:0.90±0.37、治療群0.49±0.08)
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