研究概要 |
目的:従来承認されてきた肝切除限界を越えた拡大肝切除後の肝類洞壁細胞機能に着目して、nitric oxide(NO)の変動や接着分子の発現から残存肝機能障害発生の病態を解明。 対象と実験群:実験当初はラットを用いることとしたが、10%glucose液点滴投与下での、90%肝切除でも70%のラットが1週間以上生存した。そのため、よりcriticalな切除にすべく、三重大学第1外科で明らかにしてきたイヌの拡大肝切除モデルを用いることとした。すなわち、イヌの正常肝84%切除(拡大切除)群と対照として正常肝70%切除群を作成。 検討項目:1.肝細胞機能・・GOT,GPT,AKBR、2.肝類洞壁細胞機能・・内皮細胞(ヒアルロン酸;HA),Kupffer細胞(エンドトキシン:Et)、3.NO(生体分光計など)、4.ICAM-1(免疫組織染色)など。 成績(初年度である平成7年度の成績): 1.拡大肝切除群では内皮細胞機能障害が強く発現し、これは肝微小循環障害と相関。 2.内皮細胞障害の強いものほどICAM-1の発現が強く、かつ手術後6時間で既に認められ、これらではNOの上昇は一過性で、その後肝組織血流量の高度の低下を伴い、肝細胞機能の著しい障害が出現。 以上より、最終年度である平成8年度は、抗接着分子抗体の投与を行い、拡大肝切除後の残存肝細胞機能障害の軽減やサイトカインの動態などを検討する。
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