研究課題/領域番号 |
07671393
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
日伝 晶夫 岡山大学, 医学部・付属病院, 講師 (60199007)
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研究分担者 |
保田 立二 岡山大学, 医学部, 教授 (30092357)
藤原 俊義 岡山大学, 医学部・付属病院, 医員
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キーワード | p53遺伝子 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 大腸癌 |
研究概要 |
p53遺伝子の状態が大腸癌におけるDNA傷害性治療の感受性に及ぼす影響を検討するために、術前放射線療法を施行した直腸癌の切除標本で、変異p53蛋白質の免疫染色とアポトーシスを検出するためのTUNEL染色を行った。変異p53を発現する直腸癌組織ではアポトーシス細胞の頻度が有意に低く、変異p53の存在は治療抵抗性と相関があると考えられる。さらに、p53遺伝子導入がDNA傷害性治療の感受性にどう関与するかをヌードマウスを用いて実験した。ヒト大腸癌細胞株WiDrは、p53遺伝子のコドン273に突然変異を持ち変異p53蛋白質を発現している。この細胞にアデノウイルスベクターを用いて正常なp53遺伝子を導入し、シスプラチン対する感受性を測定した。in vitroにおいて、β-galアデノウイルスベクターを使ってWiDr細胞への遺伝子導入を確認すると、感染24時間後に約50-60%の細胞でβ-gal活性が認められ、その高い遺伝子導入効率が証明された。さらにin vivoのモデルとして、WiDr細胞1x10^6個をヌードマウスの皮下に移植し、顕微鏡的腫瘍が形成される3日後より3日間、2x10^7plaque forming units(PFU)のp53遺伝子発現アデノウイルスベクターAdCMVp53を腫瘍を移植した部位の皮下に注入し、同時に2mg/kgのシスプラチンを腹腔内に投与した。AdCMVp53単独では軽度増殖抑制が見られたが、シスプラチン単独では有意な増殖抑制は見られなかった。しかし、腫瘍移植21日後の無治療群の腫瘍体積83.5+/-5.9mm^3に対してAdCMVp53に対してAdCMVp53およびシスプラチン併用群では21.0+/-2.1mm^3と顕著な増殖抑制が認められた。以上の結果を、論文として投稿中である。
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