研究課題
基盤研究(C)
門脈圧亢進症における食道胃粘膜の防御機能と障害修復機転を明らかにするために、(1)門脈圧亢進症ラットモデルの食道粘膜を用いて、細胞外基質であるfibronectinやlamininの障害の程度を免疫染色法を用いて検討した。(2)門脈圧亢進症ラットの食道粘膜においてEGF、bFGF、TGFα、TGFβとそれらのreceptorの発現を、組織免疫染色、reverse transcripton/polymerase chain reaction(RT/PCR)を用いて検討した。また、(3)現在組織障害において最も注目されているnitric oxide synthetase(NOS)やadhesion protein ICAM-1、VICAMについても同時に測定し、門脈圧亢進症における食道胃粘膜障害とどのように関わっているのかを観察した。(1)門脈圧亢進症ラットモデルの食道粘膜筋板においてfibronectinやlaminineのreceptorであるIntegrinは有意に減少しており、fibronectinやlaminineは代償的に増加していた。(2)門脈圧亢進症ラットモデルの食道粘膜筋板において特にbFGFは有意に減少しており、FGFreceptorも有意に減少していた。(1),(2)の結果より門脈圧亢進症ラットモデルの食道粘膜筋板は脆弱化しており、食道静脈瘤破裂の要因の一つになりうると考えられた。(3)NOSは門脈圧亢進症下において有意に増加しており、hyperdynamic circulationに大きく関与していることが示唆された。(4)門脈圧亢進症ラットモデルの胃粘膜において、TNFαがNOSの発現に大きく関与していることを病理組織学的および分子生物学的に証明した。
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