研究課題/領域番号 |
07671403
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
黒木 祥司 九州大学, 医学部, 助手 (30215090)
|
研究分担者 |
亀岡 宣久 九州大学, 医学部, 医員
清水 周次 九州大学, 医学部, 助手 (70274454)
千々岩 一男 九州大学, 医学部, 講師 (90179945)
|
キーワード | 胆汁酸合成 / 7αヒドロキシコレステロール / 肝予備能 / 慢性肝炎 / 肝硬変 / コレスチラミン |
研究概要 |
慢性肝疾患患者における胆汁酸合成量を評価するために、肝機能正常者18例、慢性肝炎患者21例、肝硬変患者23例の血清7αヒドロキシコレステロール(7AHC)濃度、血清総胆汁酸濃度、ICG 15分値を測定したところ、肝硬変患者における7AHC濃度(78±59pmol/ml)は正常群(237±97)に比べ有意に低下していたが、慢性肝炎患者(262±102)では変化なかった。Child BあるいはC肝硬変患者の7AHC濃度は全例正常値以下であったが、Child A患者の中には正常値を示すものも見られた。血清7AHC濃度は血清アルブミン、総胆汁酸濃度、ICG 15分値等と有意な相関が認められた。胆汁酸合成量は慢性肝炎患者では十分保たれていたが、肝硬変患者では低下しており、血清7AHC濃度測定により慢性肝疾患患者の胆汁酸合成量および肝障害の程度を評価しうると考えられた。 次に肝の胆汁酸合成予備能を評価する新しい方法としてコレスチラミン(CS)負荷試験の開発を試みた。予備実験としてCS12g/dayを正常者4名、肝硬変患者2名に14日間投与したところ、血清7AHC濃度は3日目にはほぼ最大値に達し、投与終了までプラトーを維持し、投与終了後1週間以内に投与前値に回復した。そこで投与期間を3日間に限定し、正常者9例、慢性肝炎患者10例、代償性肝硬変患者7例に投与したところ、血清7AHC濃度は投与前値のそれぞれ5.71±2.90倍、3.25±0.85倍、1.70±0.78倍と増加した。肝硬変患者の血清7AHC濃度はCS投与前には対照群と有意差がなかったが、CS投与後の値は対照群に比べ有意に低下していた。CS投与後の血清7AHC濃度は血清アルブミン濃度やICG 15分値と相関が認められた。以上、3日間のCS投与試験により胆汁酸合成は最大となると考えられ、慢性肝炎患者では胆汁酸合成予備能は保たれているが、代償性肝硬変患者では有意に減少していることが示された。
|