(1)新に設計した膜乳化機を用いて、塩酸エピルビシンをリピオドール内に包含するwater-in-oil-in-water emulsion(w/o/w)を作成した。脂肪粒子径は、きわめて均一であり、室温にて1ヶ月以上安定であることが確認された。 (2)塩酸エピルビシン60mgを肝動脈内に注入した場合と、同量の塩酸エピルビシンを使用して作成したw/o/wを注入した場合では、前者の末梢血中エピルビシン濃度は後者の6倍の高値で推移した。この差は、投与されたw/o/wは、肝組織内に高率に停滞することに起因する。 (3)従来不可能であった小粒径脂肪滴(10micron以下)を用いたw/o/wの作成に成功した。0.52micronの細孔を有するシラス多孔質ガラス膜を用いることにより、1.52micronの大豆油滴内に0.3micronの水滴を包含するw/o/wが安定して生成した。これは末梢静脈内に投与可能なw/o/wの実現に一歩近づいたことを意味する。
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