研究概要 |
ヒトのコレステロール7α水酸化酵素のcDNAを大腸菌のβガラクトシダーゼをコードするDNAにつなぎ、いわゆるin-fusion geneを大量に産生し、この蛋白(fusion protein)を用いてモノクローナル抗体を使用しヒトコレステロール7α水酸化酵素に対するモノクローナル抗体を作製し、immunoblotting法により酵素タンパク量の測定法を確立したので報告した(第18回胆汁酸研究会.1996,12)。またこの抗体が人のみならずラットのコレステロール7α水酸化酵素にも交叉反応することが判明したので基礎的研究としてラットにおける肝切除モデルを作製し、本法を使って肝切除後の本酵素の変動をmRNA、酵素活性、酵素蛋白レベルで測定したところ、コレステロール7α水酸化酵素は肝切除後12時間でmRNA、酵素活性、酵素蛋白の三者がほぼ平行に低下し、その後徐々に回復した。このことは本酵素が肝再生期の細胞分裂が盛んな時期に低下すること、また肝再生時に本酵素がpretranslational regulationをうけていることが示唆されるのでこれらのことを報告した。(第18回胆汁酸研究会1996,12、DDW-Japan 1997,4)(外科治療77:236-237,1997)。そのほかcholestasisの動物実験モデルとして、ラットとラビットについて胆管結紮モデルを作製し黄疸時の本酵素の発現に動物の種差があることを見いだし、現在報告準備中である。 なお本プロジェクト遂行の際、本酵素に関連して3β-hydroxy-Δ^5-C_<27>-steroid dehydrogenase活性と血液中の7α-hydroxycholesterol levelについての報告とvitamin D_3活性化に重要なP-450酵素である25-hydroxyvitamin D_3 1α-hydroxylase活性測定の確立についても報告した。
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