C-erbB2蛋白の発現は16.4%に、c-met蛋白の発現は46.1%に認められた。coerbBの増幅は11.7%に、c-metの増幅は10.2%に認められた。c-metはリンパ節転移、深達度と相関し、c-erbB2は分化型胃癌に多かった。 CyclinE蛋白の発現は44%に認められ、強発現は22.4%に認められた。CyclinE蛋白の強発現はリンパ節転移、深達度と相関し、予後不良であった。 Genetic instabilityについてはマイクロサテライトマーカー領域での複製エラー(RER)について検索してきた。検索した胃癌症例42例中12例(28.6%)にRER陽性が認められた。組織型でみると、分化型(乳頭腺癌、管状腺癌)の21例中7例がRER(+)であり、未分化型(低分化腺癌、印環細胞癌、粘液癌)の21例中5例がRER(+)であった。深達度別では、組織学的漿膜侵襲陰性s(-):t1、t2と陽性s(+):t3、t4に分けて検討した。S(-)が36例中11例にRER(+)であったのに対し、S(+)では6例中1例にRER(+)であった。リンパ節転移についてみると、n(-)では16例中3例にRER(+)であったが、n(+)では24例中9例にRER(+)であった。組織型、深達度、リンパ節転移の有無とは有意差は認められなかったが、胃癌においてもDNA複製の正確性や修復機能の低下が胃癌の発生、進展の過程において関与している可能性が示唆された。
|