研究概要 |
本研究は,閉塞性黄疸下にある動物において外科的侵襲を加えた場合に,その侵襲の病態に,いかに活性酸素産生が関与しているか,また,その病態改善の治療方法を検討することを目的としている. ラットの肝外胆管を肝門部と十二指腸流入部との2カ所で結紮して,2週間後に採血し,中等度の閉塞性黄疸を作成することに成功した.現在,この閉塞性黄疸ラットモデルを使用して,70%肝左葉部分虚血を施行し,無治療群とN-acetylcysteine (NAC)投与群,抗ラットIntercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)モノクローナル抗体(1A29)投与群において,肝逸脱酵素(GOT, GPT, LGH)の測定,肝組織内の還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンの測定をおこなった.NACはfree radical scavengerであり,1A29は接着分子の一つであるICAM-1に対するモノクローナル抗体で,既に我々が,正常肝の虚血再潅流障害に対しての有用性を報告しているものである.現在までのところ,1A29投与群は無治療群に比して,肝逸脱酵素値が低値で,肝組織中の還元型グルタチオンが高値の傾向である.また,flow cytemetryによる末梢血中の好中球の活性酸素産生能を測定した結果,現在までのところ,NAC群は無治療群に比較して,末梢血中の好中球の活性酸素産生能が低値となる傾向である.
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