研究概要 |
1;吻合部強化に対するSCFAの存在の意義 SCFA投与郡,非投与郡間では吻合部強化に対して有意差が得られたが吻合部におけるhydroxy prolineの定量においては両者間では有意差が得られず、hydroxy proline自体が吻合部強化を現す指標とは考えにくいと思われた。 2;潰瘍性大腸炎をはじめとする各消化器疾患におけるSCFAの投与および含有率 SCFAの注腸に対してInformed Consentが得られず現段階では各消化器疾患間では比較検討は行っていない。 3;消化器癌手術における拡大リンパ節郭清術後の腸管運動機能不全に対するSCFAの効用 腹腔神経叢,上腸間膜動脈神経叢の切除を含む拡大リンパ節郭清術後には明らかな腸管運動機能不全がみられた。今後は上記術後における食物の消化管内通過時間を検討し、次ににSCFA投与により食物通過時間の変化を記録する。このことにより臨床における拡大リンパ節郭清術後に起きる重篤な下痢を予防できる可能性が示唆される。 4;消化管運動に対するSCFAの影響,SCFA投与による食物の消化管内通過時間の検討 空腹時の小腸内にSCFAを投与することにより腸管には著明な強収縮が現れた。この反応は特に回腸末端部において顕著に見られ、この結果から生理的に生体内で起こるcoloileal refluxとの関係が示唆された。 また、一方でSCFAの回腸内投与が上部消化管(特に胃,十二指腸)運動に対して影響を及ぼすことが言われており(ileal brake)、これを実験的に証明できれば上記3の実験とあわせて今後の臨床応用での活用が期待できると思われる。
|