研究課題/領域番号 |
07671428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
稲垣 芳則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40138714)
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研究分担者 |
中里 雄一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30266655)
恩田 啓二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70246388)
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キーワード | 特発性細菌性腹膜炎 / 肝硬変 / Auto bacteriography |
研究概要 |
SBP成立過程における、腸内細菌の腹腔内への移行経路につき以下の結果を得た。 方法:体重200gのウイスター系雄性ラットを用い、4%Thioacetamido(200mg/Kg)を週2回、12週間腹腔内投与して肝硬変ラット(LC)を作成した。下部小腸(A群)あるいは大腸・(B群)をそれぞれ二点で結紮し、その二点間の腸管内にリファンピシン耐性大腸菌を10^9cfu/100gを注入し、注入後24時間および、48時間で再開腹して門脈血、動脈血、静脈血、胆汁、腹腔内洗浄液、閉塞腸管領域の腸間膜を培養した。またAuto Bacteriography(ABG)を作成し、投与菌の全身分布を観察した。なお無処置ラットをコントロール(Cont)とした。結果:LCではA群においてのみ腹腔洗浄液に48時間で3/5に投与菌を認めたが、ContではA、B群とも0/5と認めず、ABGではLCのA群48時間で腹腔内の腸管外に投与菌を認めたが、Contでは認めず、LCにおいて腸内細菌が腹腔内へ移行することを確認した。一方、LCおよびContとも門脈血、動脈血、末梢血、胆汁でも投与菌が検出されず、ABGでも腹腔内以外の他臓器および血管等には投与菌を認めなかった。腸間膜には24時間、48時間において、LCA群で1/5、3/5と投与菌を認めるものがあり、Cont A群では、1/6、3/5に投与菌を認めた。なおB群はLC、Contとも腸管内以外に投与菌は認めなかった。考察:LCおよびContのB群において、投与菌を腸管内以外に認めないことより、SBP成立時の腸内細菌は小腸由来の腸内細菌であると考えられた。またその感染経路は、血行性の可能性は各血液およびABGで大循環に投与菌が検出されないため考えにくく、リンパ行性は腸間膜臓側奬膜からの漏出の可能性もあるが、Contでも認めるためLCに特異ではなく、投与菌は腸管内腔より腸管壁外に直接移行した可能性が最も考えられた。
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