研究概要 |
1.実験群と検索対象ハムスター:発癌物質のdiisopropanolnitrosamine(DIPN)と標準固型飼料投与のDIPN対照群、DIPNと0.5%タウロコール酸ナトリウム経口投与のDIPN-TCA群およびDIPNと0.5%デオキシコール酸ナトリウム経口投与のDIPN-DCA群につき、実験開始15週以後のハムスターをDNA量の検索に用いた。15-25週の有効匹数はDIPN対照群が27匹、DIPN-TCA群が26匹、DIPN-DCA群が25匹であった。 2.Cytofluorometric analysis:15,20,25週目に各群ハムスターの肝臓は摘出され、フォルマリン固定後、5mm間隔で5切片に切り出された。各切片は厚さ3μm標本とこれに接する5μm標本が切り出され、前者はH・E染色され病巣の同定に、後者はDAPIで染色され細胞核DNA量の測定に用いられた。 内部標準(2C)として小リンパ球、増殖細胆管病巣および胆管細胞癌の蛍光強度(DNA量)が測定され、各々ヒストグラムが作成された。DNA distribution patternは、ヒストグラム上の細胞集団の分散程度より、TypeI(-A,-B)、II、IIIの3型に分類された。全ての群の増殖細胆管病巣は経時的に、4Cから6CへのDNA量の分散を示す細胞集団の増加を表わしたが、胆汁酸負荷群、特にDIPN-DCA群は有意にTypeI-BやIIの病巣の増加を生じた。胆管細胞癌におけるDNA distribution patternも前者と同様の変化を示したが、特にDIPN-DCA群はTypeIIやIIIの腫瘍の有意の増加を呈した。一方、個々の病巣内におけるDNA patternのheterogeneityが癌のみならず増殖細胆管にも観察された。これらの成績は胆汁酸負荷が癌や細胆管病巣のDNA distribution patternに影響することを示唆している。 3.細胆管病巣や胆管細胞癌のPCNAとP^<53>の免疫組織化学的解析のためそれらの予備染色を行い、各々の陽性発現を認めた。
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