本研究では共通管の著しく長いハムスターを用い、膵胆管系の発癌剤であるN-nitrosobisamine(BOP)を投与し、胆道癌の発癌を招来させ、更にヒト膵液を胆嚢内に注入することにより胆道系の発癌がより誘発されるかを検索し膵胆管合流異常の胆道発癌モデルとして有用であるか否か検討した。更に、胆嚢内にヒト膵液のかわりに各種膵液酵素(トリプシン、エラスターゼ1等)の注入、またBOPの皮内投与の代わりに直接胆嚢内注入することにより胆道粘膜にいかなる変化を生じるかを検討した。 結果(1)BOP+ヒト膵液投与群ではBOP単独投与群に比べ有意に高率に胆道癌及び腺腫の発生をみた。またBOPのみでは肝外胆道癌の発生はみられなかったがBOP+ヒト膵液注入群では肝外胆道癌の発生をみた。 (2)ヒト膵液のみの投与ではhyperplesiaはみられたが胆道癌はみられなかった。人胆汁のみの投与では殆ど変化をみなかった。 (3)BOP+トリプシン+エラスターゼ1投与では発癌率はBOP投与群と有意差はなかったが肝外胆管に腺腫の発生が有意に上昇していた。 (4)BOPの胆道内注入では胆道癌の発生はみなかったが、肝外胆道系に腺腫の発生が高率に認められた。
|