研究概要 |
本研究では共通管の著しく長いハムスターを用いBOPを投与し胆道癌の発癌を検索し、これにヒト膵液を胆嚢内に注入することにより胆道癌がより誘発されるかを検討した。更に胆嚢内にヒト膵液の代わりに各種膵酵素を注入し胆道系を検索した。又BOPの投与方法を直接胆嚢内に注入することにより胆道系を検索した。これら胆道上皮の変化についてPCNA,Ki67及びP53蛋白、Kras蛋白、Erb-2蛋白についてその癌遺伝子蛋白の発現を検討した。 1.BOP+ヒト膵液投与群はBOP単独群に比し有意に高い胆道癌、腺腫の発生をみた。 2.ヒト膵液のみの投与では癌腫は発現しなかったが肝外胆道系に過形成の高い発生をみた。 3.ヒト膵液の代わりに単一の膵酵素投与群では癌腫の発生はなかったが、肝外胆道系の腺腫の発生が高率であった。 4.BOPの胆道内注入では胆道癌の発生はなかったが同様に肝外胆道系に腺腫の発生が多く認められた。 本実験はヒトの膵胆管合流異常の胆道発生癌モデルとして有用で核心をついた実験モデルである。
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