研究概要 |
リコンビナントMAGE蛋白を抗原とし、食道癌患者の末梢血より採取したリンパ球をエフエクターとして自家癌特異的killer T細胞の誘導とそのMHC拘束性を明らかにすることを目的に以下の実験を施行した。MAGE-1geneのl038bpのcDNAは、K562細胞株よりRT-PCR法で特異的Primerを用いて増幅したMAGE遺伝子をTA cloning法でMAGE-1遺伝子をcloningした後、DNA自動解析装置で遺伝子配列を確認した。これをpGEX-2T vectorにsubcloningした後、E.Co1iにtransfectしてその発現を確認し凍結保存した。MAGE-2,-3はHAK-1肝細胞培養株より、MAGE-4lはRPMI-l788細胞株より同様に作成を試み、MAGE-l,-2, -3の各蛋白ペプチドを合成した。MAGE mRNA発現陽性患者において、そのsubfamily発現度に応じた抗原を選択し、末梢血単核球(PBMC)を抗原刺激した。IL-2の添加は、抗原刺激後2日目からとし、2日目以降の刺激には14日毎に50Gyの放射線照射自己末梢PBMCを抗原提示細胞としてそれに対してMOI 1となるようにMAGE蛋白質発現性E.Coliを加えた。 Cytotoxic T-cell(CTL)測定には4時間毎51-Cr遊離法を用い、標的細胞は主として新鮮分離自家癌細胞及び他家癌細胞を用いた。今回験討した食道癌患者18例中、MAGE gene発現陽性患者は3例で、MAGE-1発現陽性が2例、MAGE-3発現陽性が1例であった。これら患者からPBMCを採取し、各抗原で刺激してday 2よりIL-2をl000U/ml添加して10週間以上の長期間培養を試みたが、いずれもCTLを誘導することはできなかった。また、今回検討したPBMCの解析ではHLA-class I-A1は認められず、またA2 heteroも4例に認めたのみて、他はA24,A26が主体であった。 HLA-class I-A2 hetero患者のPBMCを用いてIL-2により培養したが、何れも4週間以内に死滅し、CTLの誘導はできなかった。
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