研究概要 |
1)急性予備実験: 雑種成犬の左右の有茎広背筋を解剖学的に3つコンパートメント(Transverse segment,Obilique segment,Lateral segment)に分けて、それぞれ左右第二肋間より胸腔内に挿入し、TransverseおよびLateral segmentを上大静脈、下大静脈を狭窄しないように巻き付け、更に右房壁全体にObilique segmentを縫着することが両側広背筋とも可能かどうかを検討した結果、右側広背筋は長さに問題なく作成できたが、左側広背筋のlateral segmentは短いため下大静脈に巻きつけられず、以後、右側広背筋の使用を原則として行うこととした。 2)急性実験 3つのコンパートメントに分割した右側有茎広背筋を右第二肋間から右胸腔内に挿入し、筋束をそれぞれ上下大静脈に巻きつけ、また右房自由壁に縫着した。広背筋の神経近位にpacing leadを縫着し、single pulseを出力するpacemakerを用いて心房非同期に広背筋刺激を行った時と行わなかった時の心電図、動脈圧、右心房圧、上大静脈圧、広背筋収縮の測定を行なった。その結果、非刺激時と刺激時での心拍数は128/分,130/分,動脈圧は75/52mmHg,75/50mmHg、右心房圧は9/3mmHg、25/5mmHg、上大静脈圧は7/3mmHg,8/3mmHgで、右心房圧のみが刺激時に上昇した。 また、その時の広背筋刺激時の筋収縮は収縮力ピックアップにより確認された。 以上の結果、有茎右側広背筋刺激による右心房圧上昇効果が確認できた。 今後、右心房同期刺激、burst刺激などを行い、右心房圧の上昇程度および肺動脈血流測定により、心補助効果について検討を加えていく予定である。
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