研究概要 |
1、 培養心筋細胞を用いた低酸素環境下心保存での至適温度の検討 培養心筋細胞を用いた低酸素環境下心保存での至適温度を見いだすことを目的として、新生仔ラットから分離した培養心筋細胞を用いて低酸素環境下での培養温度条件を変化させ、48時間培養後の拍動回復率、逸脱酵素を測定検討した。拍動回復率は20℃で83.7%と他の群に対して有意に高値に保たれた。また逸脱酵素のLDH、CPKも20℃でそれぞれ 550mIU/flask、33mIU/flaskと有意に低値であった。これらのことより、低酸素環境下での心保存の温度として20℃が最も至適であると考えられた。 2、 低温ストレスによる虚血再潅流障害 ラット心筋芽細胞を培養し虚血再潅流負荷を加えたモデルを作成しその際の心筋障害を,flow cytometryを用いて評価した。虚血負荷前に低温ストレスを加え低温ストレスの虚血再潅流障害軽減効果について検討した。その結果虚血前に低温ストレスを加えることにより細胞活性、細胞内pHは再潅流後良好に保たれた。また本効果が前投与したMn-SOD Antisense Oligonucleotideにより抑制されたことから、低温ストレスによって誘導されたMn-SODが虚血再潅流障害軽減に働いたと考えられた。 3、 線維芽細胞混合培養による心筋芽細胞虚血再潅流障害抑制について 2と同様の方法でラット心筋芽細胞を培養し虚血再潅流負荷を加えたモデルを作成し、その際に線維芽細胞を混合したものと、単独培養のものとで比較検討した。flow cytometryを用いて細胞活性、細胞内pHを検討したところ混合培養群で細胞活性、細胞内pHが良好に維持された。しかし現在のところ線維芽細胞から分泌される物質の何が虚血再潅流障害を軽減する効果を有したか解析できておらず今後の検討課題となっている。
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