研究概要 |
1.ゼラチンでコーティングしたMarlex meshで頸部気管の部分欠損に対しパッチ補填を行った。7頭中3頭はほぼ良好な治癒状態を示したが,他の4頭は肉芽による狭窄や瘢痕狭窄を認めた。 ここまでの事件で,補填材料が全体に硬いことや,ゼラチンコーティングが剥がれ易いことなどの問題が生じ,代用気管の改良を行った。 2.新しく作製した代用気管はゼラチンコーティングを厚くして剥がれにくくし,形はU字型にした。この材料を移植前に15分間リファンピシン溶解液に浸漬した。 3.頸部気管を模様部のみ残し切除し,U字型の代用気管で置換した(3頭)。 3頭とも内腔保持力は良好であるが,吻合部に肉芽を生じ2頭は2カ月及び5カ月に犠牲死させたが,1頭は生存中である。 犠牲死させた2頭の移植気管を観察すると,meshの中に結合組織が入り込み周囲組織と一体化していたが,表面にゼラチンが残存しており上皮化はほとんど認められなかった。 4.3頭に経気管支鏡的にレーザー血流計で粘膜血流を測定したが,ずれも代用気管の中間部で血流が低下していた。 5.現在まだ1頭生存し経過観察中であるので,その結果が出しだい全体の成績を総括し,組織学的な検討も加えたい。
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