肺癌患者の補助免疫療法の有効性を高めることを目的として、術前にOK-432とUFTの投与と術中にOK-432肺胸膜下リンパ管注入を考案した。しかし術前の入院期間およびインフォームドコンセントの問題があり行い得なかった。切除肺癌細胞と末梢血リンパ球を用いて、各種免疫賦活剤負荷時のATK活性・NK活性を測定し、有効な免疫賦活剤の選択を行うこととした。8例の原発性肺腺癌での測定結果は、免疫賦活剤非負荷時のNK活性は36〜73%とすべてがすでに高値を示したのに対してATK活性は0〜10%と低値であった。免疫賦活剤負荷時にはLAK活性の上昇はみられたもののATK活性の上昇は得られなかった。したがってすでにNK活性高値である症例にATK活性の上昇は得られず、本方法の臨床への応用は困難であると考えられた。そこ腫瘍特異的キラーT細胞を誘導する為に腫瘍抗原に着目した。MHC非拘束性で肺腺癌で90%発現しているMUC-1をはじめMUC-4、MHC拘束性であるMAGE-3の抗原エピトープのペプチドを合成し末梢血リンパ球をパルスし、現在腫瘍特異的キラーT細胞を誘導している。これらの腫瘍抗原を発現している腫瘍に対してそので細胞障害活性を測定するとともに、細胞障害に関与するサイトカイン・細胞表面分子あるいはシグナルパスウェイを調べる予定である。
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